『今、心斎橋を出発』
思えばこのメールを受信した時点で互いの認識の齟齬に気付くべきだったのだ。

―JRに心斎橋と言う名の駅は存在しない―

 私の待ち人、今回の旅の同行人K嬢は市営地下鉄に乗っていた。
その時私はJR新大阪構内新幹線乗り場前の待ち合い所に座っていた。
30年に及ぶアメリカにおける麻薬戦争にどっぷりとはまりこんだ私は
パラーダ神父が13発の銃弾を腹に撃ち込まれたショックに言葉を失い
ハンカチを握りしめていたところだった。

 故にK嬢が思っている「待合所」が自分の座っている待合所とは別のものだと気付きもしなかったのだ。

 『到着したけど待合所が無くなってる』
 K嬢からメールが届いた。
 
 『無くなっている?』
 
 では私が今座っているこの場は何だと言うのだろうか。
早々にK嬢の電話を鳴らす。そして彼女は改札の外。自分は内にいる事を知る。

―そう言えばK嬢の切符は私が預かっていた―

 愚かな事である。今思い出しても慙愧に堪えない。

 とにもかくにも文明の利器たる携帯電話がこの時ほどありがたく思えた事はなかった。
トランシーバー代りに連絡を取りながら何とかK嬢との接触を果たす。
 K嬢は当然のごとく立腹していた。
「貴女が私の切符を預かっているのですから、構内に入れるわけがございませんでしょう」
その通りである。私はひたすら謝るしかなかった。
 さて落ち着いて見てみるといつになくK嬢の装いが華やかだ。
柔らかい色目が似合う事もあり常に女性らしい服装を好む人物であったが、
今日はいつにもまして女らしい服装に見える。
桃色というよりは朱鷺色に近いワンピースに黒地のボレロを合わせた姿は同い年にも見えない。
「えらく若作りじゃないですか」
ごく普通にこういった服を着こなすことへの嫉妬も手伝い憎まれ口を叩いてしまった。
幸いにも付き合いが長い事もあり、こういった軽いジャブの応酬では口争いになる事も無い。
大阪の人間で良かったと思った。

 新幹線に乗車。新大阪駅は空気がこもり大変暑かったが、車内は空調が効いておりやっと一息つく事が出来た。
東京へ向かう車中、K嬢はしきりと見知らぬ人々との邂逅への恐怖心を口にする。
お互い小心者である事は分かっている。
その恐怖は理解できるが、今さらどうこう言っても電車は止まらないのである。
「何とかなるだろうよ」
私はそう言うにとどめた。

 東京駅に到着。思った以上に涼しい、これには驚いた。
本日のメインイベントは夕方開始予定だった為、東京駅で昼食後宿へ向かう。


(昼食で食べた生春巻。エビがすしネタのような形で入っていて驚いた)

 さて、本日のメインイベント。
「S嬢・K嬢・私 三人で行くはとバス横浜ナイトストーリーツアー」

 S嬢が予約等々の準備をしてくれているので、あとは東京駅で待ち合わせるのみである。
宿を出て、東京駅に早く着いた我々は怪しい商人からエビ味の塩やスイカのコンフィチュールを渡された。
商人は自信満々だったが、干しエビを嫌悪する人間には不向きな商品であったと思われる。

 S嬢が必死になって駆けてきた。S嬢とK嬢は初対面であったが、ごく普通に会話が始まった。
共通の話題があるというのは実にすばらしい事だと思う。
はとバス内でも、車内での観光案内をほぼ聞き飛ばして会話が弾む。
有意義な時間を過ごす事が出来た。ついでと言うのも何であるが、二階建てバスの上階からみる
風景も大変美しかった事も加えて記しておこう。

 横浜中華街に到着すると、夕食の会場に案内された。
見知らぬ3組のカップルと我々3人の9名で一つの丸テーブルを囲む。
9と言えば中国では非常に縁起の良い数字のはずだったが、そんな事はさて置いておいて
それぞれの組で話が盛り上がっていた。我々もひたすら萌え話に興じている。いやはや旅の恥はかき捨て。
 その間にも激しい勢いで料理が運ばれてきていた。
給仕の婦人は大皿に載せた料理を一旦見せた後、小皿に分け問答無用で配ってくる
あまりの勢いに呆然としていると「ツアーの時間に合わせる為にね早く出してるんですよ」と弁解された。
なるほど、そう言えば食事時間も含めて中華街滞在時間はそれほど長く取られてはいなかった。
我々三人も早々に食事を切り上げ(とは言え完食はしている)中華街へと歩き出した。

 かの世界において唯一、人から神へと成り得た男。
その廟へ参ろうとしたのだが「最早時間は残されていない」と、我々の前で門は閉ざされてしまった。
何と言うことだろう。
結局門前より思いを馳せるのみとはなってしまったが、同じく落胆していた御婦人と心を
通わせる事が出来たのは僥倖であった。
互いに一枚の絵を残せたのは良い思い出である。

 中華街にはパンダがひしめいていた。足元にパンダ。眼前にパンダ。頭上にパンダ。
パンダはなんと素晴らしいのだろう。目移りをしすぎて結局何も手にする事無く時間切れとなり
はとバスへと走る羽目になってしまった。素早さはいつになっても手に入らない。

 中華街を後にしたはとバスは横浜のスカイタワーへと向かう。
45秒で110mを一気に登るらしいエレベーターに乗せられ上階へ。
Gはそこまできつくは無かったがやはりエレベーターは苦手である。
 展望台では一面夜景が見られた。が、良く見ると明りが少ない。

―そう言えば世の中は節電中であった―

 ぐるりと一周した後、限定グッズなどを見てみた。青白いマーブルチョコは名作だろうか?
その後、下り口を間違えた為待ち合わせ場所へ中々行きつけない事態が発生したりもしたが
無事帰りのはとバスに乗り一路東京へ。

 東京着後S嬢が近隣の店舗を検索してくれる。フットワークの軽さと素早さが素晴らしい。
おかげでK嬢と私では一生行く事も無かったであろう高そうなお茶を飲みに行く事が叶ったのであった。

 その場でもまたも萌え話に花が咲いている。
「津森の下の名前は何と言うのか」
「津森の相手は誰がいいのか?」
で、K嬢とS嬢が盛りあがっている。
 私の「普通の女子と恋愛して欲しい」と言う意見は見事に一蹴された。が、まあ聞いていて愉快だった。
人の想像力、妄想力と言うのは素晴らしい。近いうちにこの二人に是非とも津森妄想を描いてもらいたいものである。

 楽しい時間はあっという間に過ぎる。オーダーストップの時間がやってきて3人は別れたのだった。

 明日はイベント本番である。
隣でK嬢がおびえている。が、負けず劣らずおびえる私はもはやそれをフォローする余裕も無い。
明日は晴れるだろうか?我々の友情は持ちこたえ得るのだろうか?
全てはその時が来れば分かるだろう。

以上

 

 

あーすいませーん。何か無駄に長い上に読みにくいですねー。
もう殴り描け無かったんでこれで終わりなんですよ・・・。
K嬢がケイちゃんS嬢がさらりさんです。さらりさんありがとですー!!
スカイタワーの名前も数字もデタラメです。
ちゃんと覚えてないもんで・・・・。(調べろよ)

挫折した殴り書き一枚だけ・・・

 ここで挫折・・・・。

お付き合いありがとうございました!

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