「ゼロの質量−白いウサギー」
ミニマムウサギさんのお話です。
小説メイン。いつになく重たい目の話です。
ベタベタを目指しました。とりあえずウサギ両親の人でなしっぷりがひどいです。
まったく原作でキャラ造形が分からなかった人を完全捏造しており、オリキャラが出てきたようなお話に
なっておりますのでお気をつけ下さいまし。
なお、この一冊でも一応完結したような書き方をしておりますがもう一冊続く予定です。
表紙です。
小説の前後に絵本風に漫画をつけております。もー、私の趣味全開すぎの本です。
≪小説本文サンプル≫ その日の朝は、なぜか誰も僕を起こしにやってこなかった。
いつもは「自分で起きられるから大丈夫です」って言っても判でついたように決まった時間に誰かが起こしにやってくるのに。
何かあったのかな。
いつもと違う事があるとその分頭が動き出すのも早いもので、僕は大急ぎでベッドからはい出した。
何だかひどく静かだ。僕の住んでいるお屋敷はとても広い。だから元々大きな音がする事は少ないのだけど、何だか奇妙な感じがする。
しばらく考えてみて気がついた。
屋敷の中だけじゃない、外もとても静かなのだ。ここ最近は天気が悪くずっと風と雨の音がしていたのがすっかり止んでいる。
窓にかかった分厚いカーテンをめくって僕は大きく息をのむ羽目になった。
外は一面の銀世界。いつもきっちり手入れされている庭園も、離れの建物も全てが雪に覆われ真っ白になっていたのだ。
「……すごい、これ全部雪?」
思わずつぶやいた後、僕は一番分厚いシャツと上着を引っ張り出しにかかった。
本では沢山読んでいたけれど、こんなに雪が積もっているのを本当に見るのは初めてだ。多分、この雪で手を取られて誰も僕の所にやって来なかったんだろう。
誰かがやってくる前に、外に出て思う存分雪を触ってみたい。
屋敷の誰かが一緒じゃ、こんなすごい大雪もゆっくり見せてもらえないに決まっている。
ワクワクしながら大急ぎで僕は服の袖に手を通した。
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