「I need you to survive」

I pray for you
You pray for me
I love you
I need you to survive

クリスマスっぽくを目指して甘甘にしようと努力したのですが
全く手が進まず・・・。結局いつも通りになりました。

で、まあ上の絵に合わせて漫画描きたかったんですが、間に合わないのでネームのような拙い小話を・・・・。

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「ヒロさんが風邪ひきませんようにってお願いしておきました」
 野分が満面の笑顔で言った。
 
 まただ。
 
 俺は盛大に眉間にシワを寄せた。会話が顔をしかめるような内容ではなかったからか、野分が心配そうに俺の顔を覗きこんだ。
「ヒロさん?」
 何で俺がしかめ面をしたのか、その理由をコイツは全く分かってない。それが余計にムカいた。


「ツリーの天辺に星を飾った人は、一つ願い事が出来るって知ってましたか?」
 珍しく二人揃ってのんびり飯が食えた日。とりとめない会話の中で野分が聞いてきた。 
 聞いたことがあるような無いような…。大喜びでクリスマスの準備をしていたのは、はるか昔のこと過ぎて
今さら聞かれた所でそんな逸話は思い出せもしない。
「あー?何かそんな話あったか?」
「俺も知らなかったんですけど、病院で子供たちに聞いたんです」
 どうやら病院でのクリスマスの飾りつけでの話らしい。
「もう、そんな時期か」
「はい、子供達もすごく楽しみにしてるんです。あ、もちろ病院なんで出来ない事も多いんですけど
飾り付けだったら皆でやれるのですごく頑張るんです!」
 目をキラキラさせて野分が言った。そういえば去年もサンタを誰がやるかでもめたとか色々言ってた事を思い出した。
 入院することで日常から切り離されるのはとても辛い。それが子供ならなおさらの事で
そういう不安を少しでも和らげるように様々な形でフォローをかける姿には本当に頭が下がる。
「入院したりで大変だけど、お前のとこの子供達はスタッフが一所懸命にやってくれるから幸せだな」
「出来る事はしっかりやりたいですから」
 少しはにかんで野分が笑った。
「今日はツリーに鈴やモールを飾ったんです、そしたら最後にツリーの天辺に誰が星を飾るのかで子供がもめちゃって…」
「ああ、それで理由を聞いたら…」
「はい、『願い事を叶えてもらえるから!!』って皆真剣なんですよ。それで即席ジャンケン大会になったんです」
 それは、さぞかし騒がしかったことだろう。バタバタした病院の風景を思ってちょっと笑ってしまう。

「で、俺が勝ったんです」
「は!?お前も参加したのかよ!」
「はい、全員参加って事で先輩も看護師さんも皆でやりました」
 あらためて・・・すごい風景だ。
「それでツリーの天辺に大きな銀の星飾りをつけさせてもらったんです。けっこう挿しこむのが大変だったんで大人が当たって良かったかもです」
「へー、それでちゃんと願い事はしたのかよ?」
「もちろんです!」

「ヒロさんが風邪ひきませんようにってお願いしておきました」

 ・・・こいつは、いつもこうだ。
『願い事は何をしたのか?』って聞くと返ってくるのは『ヒロさんのことです』って。
それが嬉しく無い訳じゃない。いつも俺の事を思ってくれてるんだと思うとむしろ嬉しい。
 でも、何かがひっかかってならない。
「お前な、いっつも俺の事ばっかり願ってるけどたまには自分の願い事をしろ」
「俺の願い事はヒロさんと一緒にいられる事だから、ヒロさんの事お願いしても全然おかしく無いですよ?」
「おかしいとかそういうんじゃ無くって!俺以外にも自分の事あんだろうが」
 段々声がでかくなった。野分は、何で俺がこんな風に憤ってるのか全く分からない様子でひどく戸惑っている。
別に怒ってるわけじゃない。むしろ少し悲しかった。
「あのな、『自分の願い事は無い』って言われると何か『自分と言う人間はどうでもいいです』って言われてるみたいで嫌なんだよ」
 吐き出すように俺が言うと野分が息を詰めたのが分かった。
 
 しばらく下を向いて黙っていたら、野分がゆっくり俺を抱え込むようにして抱きしめてきた。
「それでもね、ヒロさん。やっぱり俺、自分の願い事は無いんです」
 野分がポツリポツリと言葉を紡ぐ。
「もともと願い事をするような性格じゃないですし、さっきも言いましたけどヒロさんがいてくれたら俺の願い事は全部叶ってるから
だからね、願い事は無いんです」
 こいつが多分こう言う事を考えているだろうことは見当がついていた。分かってはいるけれど心配なんだ。
「俺の事だけじゃなくって、もっと自分のことも考えたらいいんだ」
「ヒロさん!俺の世界はヒロさんが中心なんですよ!?」
 
 駄目だ完全に話が平行線になっている・・・。
 こいつはひたすら俺の事を思っているし、俺だってこいつの事を考えてる。
なのに何でだろう、上手く言葉が伝わらない。
 悔しさのあまり唇を噛んで下を向いてたらふと思いついた。
 『目には目を、歯には歯を』だ!!

「野分」
 俺ががっちり腕をつかむと野分が言葉を止めた。
「分かった、好きにしろ。好きなだけ俺の事を願ったらいい」
 しっかりと野分を睨みつけて俺は言った。
「かわりに、俺はこれからいつでもどこでもお前の事を願ってやる!これでチャラだ!」

「えええ!?ヒロさん駄目ですよ、俺のことなんか祈るよりちゃんと自分のお願いして下さい!
あ、でもすごく嬉しいです!うわ、俺どうしたら・・・・」
 野分がワタフタし始めた。
「どうだ分かったか!?自分の事だけ願われたり祈られたりする気持ちが!」
「そんなぁ〜」
 
 『野分が元気でいますように。俺の隣で笑っていますように』

 俺だってお前がいない未来なんか想像出来ない位にはお前が大事なんだ。
うろたえる野分をからかいながら、俺は心の中で願い事を一つして笑った。
 
 おしまい

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はは・・・。
すいません相変わらず間とか雰囲気とか皆無のト書き文章で・・・・。
[I need you to survive]はゴスペルソングでして、この場合「You」は常に大文字になるんですが
この内容なんであえて小文字。←どうでもいい拘泥。
まま、この曲の歌詞あわせで妄想したんで設定がおかしいですね。一体いつ野分が原作でお願いしてたよ?
ツッコミどころ満載です。満載過ぎます・・・。
でもなー妄想するならば、やっぱ野分はお願い事しない気がするですよ。

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